新型コロナウィルスが猛威を振るっているが、
中国の一企業の現状をお伝えしたい。
1、深圳市および福田区の感染状況
2、休業の経緯
3、業務開始申請
4、今後の予測
1、深圳市および福田区の感染状況
ここ数年、IT企業の集積地としてメジャーになった深圳市。
中国の改革開放政策の草分けの地であったため、日系企業は、上海、北京についで多い(香港経由での投資が多い)。
人口は1300万人。ウィルス感染者は2月16日24時現在で415名と感染率は約3万人に一人とかなり低いが、市単位では湖北省を除いて最大レベルである。
(北京市381名、上海市331名、広州市339名)
当社の所在地は、深圳市の経済の中心地である福田区。香港に接し、投資・金融・交通の拠点でもある。深圳市の10の行政区で163万人と最も人口密度が高い。
行政区別の感染者でもトップの南山区(87名)に次いで79名である。人口比でも2万人に一人の感染率である。
2、休業の経緯
当初、法定休暇日は1月23日から30日、弊社の休暇日は1月23日から31日までであった。
春節休暇前は、マスクをしている人はほとんどおらず、武漢で増えつつあるウィルスにも、他人事であった。
春節休暇に入ってから、マスク着用の義務化などが告知され、28日は法定休暇日を2月2日までに延ばす指導が発布された。
その3日後には、2月9日までに再延長。更に、業務開始の承認が必要との旨も発布され、業務が開始できない状態になっていた。
2月5日くらいから、業務開始の条件として、
・ネットでの申請
・管理書類の提出
・ウィルス不拡散グッズの準備
などが義務化された。
弊社も、2月10日に業務開始できるよう、すぐにネットで申請したが、8日に追加の書類等も必要になり、10日開始は無理とのことだった。
但し、業務開始の準備のためだけに、少人数での短時間出社はOKとのことで、とりあえず、数人は出社し、午前中で、客先状況の把握や、自宅勤務での仕事内容の確認等をして、午後には退勤した。
翌11日から15日までは、担当当局へ開始許可の督促を何度もしたが、回答も無く、15日夕刻に、「16日に仮承認を行うので、資料を準備して会社にいるように」との連絡があった。
3、業務開始申請
16日に必要書類の作成やプリントアウトを行い、ビルの管理部門が監査に当社へ来て、書類、準備物の確認をした。
書類等
・申請書
・全ての社員の休暇中の渡航先(深圳市以外)、実名、住所、ID番号のリスト
・感染防止のため、社員教育用の資料
・社員の意識付けのためのポスター
・定時消毒作業のチェックリスト
・定時体温測定のチェックリスト
準備物
・非接触体温計
・消毒液
・マスク(毎日、従業員一人当たり1枚以上配布義務)
従業員数 X 出勤日(少なくても10日分は必要)
・隔離室の確保
非接触体温計は、急遽、帰国していた知人に買ってきてもらったものを使用。
中国ではほぼ売っておらず、2週間の納品待ち。
マスクも、予備で60枚保有しており、知人に60枚分けてもらった。
2月3日に日本よりDHLでマスク数百枚を発送したが、2月5日に深圳に到着するも、17日現在、届いていない状況。
今後、担当当局が来社し、管理状態を確認して、業務開始の本承認とする予定だが、いつ来社するのかは明確ではない。
17日午前中に、取引先の工場へ20社ほど連絡したが、製造を開始しているのは4社、出社さえもしていない工場は2社、残りは製造開始準備、リストの作成、従業員の状況把握、マスクの調達などで大変なようだ。
弊社でも、昨日、自宅マンションから感染者が出たため、マンションから出れず、2週間出勤できない者もいた。
4、今後の予測
出勤の承認は区の下部行政組織である「街道弁」(福田区には10の街道弁がある)が行うのであるが、それぞれにローカルルールがあり、そのルールが二転三転している。
書類が追加されたり、出勤禁止条件が拡大されたりと、配布マスクが一人当たり2枚になったりしている。
現状の条件の下、計画を立てて業務を開始しても、開店休業にならざるを得ない。
2020年2月17日13時現在


