「下請け法」は「〇〇法」に

「下請法」の改名論議が高まってきている。
私としては、大賛成だ。

40年前に、ある日系企業が、深圳で中国で最初のプレス・金型工場を設立した際、
当時の深圳市幹部が「深圳市はセットメーカー(ブランドホルダー)より、サプライヤー企業の誘致に注力する。
優秀なサプライヤーが集まれば、セットメーカーは自然と進出してくる」
と言っていたそうだ。
結果、部品製造業から育った企業は今や、中国市場だけでなく、世界を席巻している。
フォックスコンなどの巨大OEM企業に限らず、BYD、ファーウェイ、美的などが、部品製造業から飛躍している。

発注側、受注側双方のメリットを明確にしているか
中国で仕事をしていると、日本より、取引先間の上下関係が希薄なことを感じる。
発注側も受注側も、双方メリットがあるから取引をする。
発注側は、価格、品質、納期、決済、利便性、対応、安心感などを考慮し、
メリットが高い会社に発注するし、
受注側も、利益、効率、受注の安定性、技術などの製造力の蓄積、会社の信頼性への寄与などを考慮し受注する。

セットメーカーの発注量が多ければ、多くのレベルの高いサプライヤーが集まるが、
受注側のメリットが少なくなれば、発注側へ仕事を返すことも、当たり前のようにある。
発注量が少なくなったセットメーカーは、付き合いの長い日系サプライヤーに、
金型を移管し、「下請け」日系サプライヤーは、メリットのない取引を半ば強要される。
その結果、多くの「下請け」サプライヤーは、工場の立ち退き要求や、労働争議などをきっかけに、中国製造市場から撤退していく。
一方の、「下請け」でないサプライヤーは、受注メリットの高い市場、製品を開拓し、
製造力を高めて、大きくなっていく。

メリットの少ない取引はやめる流れを作る
国がいつまでも「下請け」企業を「下請け」と認識しているので、
いつまでも、世の中(当の下請け企業も含め)の「下請け」の認識が変わらないのだと思っている。
当社も、提案した商品の受注直前でも

メリットがない(というかデメリット、リスクが大きい)客先へは、
デメリット、リスクをなくす交渉を続け、客先が承認しなければ、受注を断る。
それでも、客先がその商品が欲しいということであれば、当社を評価して、承認することも多い。
発注されなかったときは、商品も含めた当社との取引にメリットがなかったものとして、
あきらめざるを得ない。
ただ、客先のとってメリットが少なった当社の力不足を変えるための、社内、商品の改善をしていき、より良いサプライヤーになっていく。

 

客先を切ることで拡大していこう
客先を切ることが、日系企業はなかなかできない。
客先は下請け企業を日常的に切っているのにも関わらず、だ。
市場が大きい中国だからこそできるのだろうが、
客先を切ることで、重荷を外し、新しい技術・市場を獲得している取引先は多い。
自動機工場が、客先との事前打ち合わせ、見積、失注となることが多く、
自動機事業を捨て、ドイツ製のレーザー発振装置をXYテーブルに取付けて販売したところ、
爆発的に売れて、上場したところもある。
自動機事業を捨てた2年半後で「上場」である。

ということで、
話は戻って、「下請法」は「サプライヤー法」でよいと思う。
サプライチェーンという言葉も一般的になってきているし。
「パートナー法」という案もあるが、「一緒じゃないとだめ」感が強すぎる。